5月8日の東京対大宮。後半のロスタイムに同点ゴールを決められ、東京の選手たちはグランドに崩れ落ちました。この光景に対して「終了のホイッスルが吹かれるまで、最後まで戦うべき」という意見が数多く見られました。
実をいえば見ていた私も、崩れてしまいました。心が折れました。その後も歌いましたが、魂は入っていませんでした。
今にして思うと、やはり試合終了前に諦めてしまうのは良くない。かといって、意味もなく選手たちに頑張れとは言いたくない。チームとファンが求めたのは勝利。その目標に向けて、あの時は何ができたでしょう。あれ以来、いろいろと考えます。
私が思いつくことといえば、センターサークルから超ロングシュート。あの時に残っていたメンバーで、最もキック力がありそうなのはジャーンあたりでしょうか。でも、ゴールの確率は非常に低いでしょうね。
アメフトには「ヘイルメイリー(お願い女神様)」という作戦があります。とにかく全てのレシーバーをエンドゾーンの中へ走らせ、クォーターバックは力任せにそこへボールを投げ込む。誰かが取ってくれたら儲けもの。主に負けているチームが最後のワンプレーで行う、一か八かのギャンブルです。サッカーのパワープレーのような感じですかね。
あの時にロスタイムがどれくらい残っているか、把握していた人はいたでしょうか。蹴って終わりなら超ロングシュートを狙うしかないし、10秒もあればロングフィードを受ける選手がゴール前まで行けるでしょう。
そもそもロスタイムを決めるのは主審なわけで、あそこで倒れてしまったら、終了のホイッスルを吹かせる口実を与えるようなもの。時間を稼ぐためにも、すぐに次のプレーを始める姿勢は見せなきゃいけなかったですね。
何よりも事態が起こった時に気持ちを切り替え、得点の可能性がある方法を即座に考え、実行することができるか。実は追いこまれた時こそ、冷静でいる必要があるのかもしれません。
そして見ている側も、まだ選手たちにやれることがあると、心の底から思えなければならないでしょう。あの日の私には、それが出来ませんでした。そういえば2003年のセカンドステージホーム最終戦、緑の飯尾にロスタイムでゴールを決められた時、私はどうしてましたっけねえ。あの時の自分を振り返っていれば、大宮戦の最後も心の底から声を出せたのでは、と思います。
東京の選手たちには、これから本当の意味での「強さ」を身につけていってほしいところ。特に若い選手たちは。そして次に同じようなことがあった時は…もちろん、ない方が良いのですが…今度こそ、最後まで選手たちを心の底から鼓舞してあげられるようにしたいですね。